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工具について

いわゆる普通の人間が工具を買おうとしたらこうなる

長年乗っていた MR-S からスイフトに乗り換えて感じていることがある。

レスポンスが悪いからべた踏みになって MR-S より燃費が悪い ( 街乗り MR-S で 12km/L、 スイフト XG で 9.2 km/L ) だの、後部座席が狭くて困るだの、物が積めないだの、不便と思うところはあったが、何とかやりくりしながら乗っている。

しかし最近強く思うのは、後部視界の悪さだ。一人で乗っている頃ならともかく、今では相方が日常的に使っているような車である。後方視界を確保して安全に乗るに越したことはない。

そういう名目で横長のオンダッシュモニタ、バックカメラ × 4 個、それらをまとめて映し出すマルチカメラスプリッターという機器を購入したわけだ。これだけでも 4 万ちょいかかっている。これ以上お金を使うわけにはいかない。取り付け依頼などもっての外。バックカメラの工賃は特に高いから、取り付けは自分でやることにした。

車なんて直流 12V の閉回路だろうから、極論すれば単 3 電池に豆電球 1 個の回路と同じということだ。 ACC (アクセサリー) 電源からプラスの線を分岐させて、「それぞれの機器」のプラスにつなぐ。アース線を適当な場所から取って「それぞれの機器」のマイナスにつなぐ。後はカメラの配線をするだけでいい。それくらいなら何とかなりそうだ。

というわけで久しぶりに工具箱から電気工事関係 ( と言うほど立派なものではない ) の工具を取り出してみた。うん、ひどい。

何がひどいって、ワイヤーストリッパーは可動部分が錆びて開閉しづらくなってるし、そもそもワイヤーをストリップしない。使い道を探すのが難しい工具と化している。誰かの頭を殴る凶器に使えるくらいか?

ニッパーはピアノ線か針金を切ったかのように真ん中あたりが丸く窪んでいる。そのように酷使している状態だから、切れ味は当然落ちている。

ラジオペンチは全部錆びている。ファミリーセットの安物だからしょうがないとは思うが、あまりにもひどい状態だった。噛み合わせてみると隙間ができて、物をつかむ役割を果たせていない。

とりあえずニッパーを研いでみることにした。

全てはここから始まった。

ニッパー再生できません

ニッパーの刃の真ん中、両方の刃が何 mm かずつ半円に窪んでいる。合わせると 3 mm くらいの円になる。

何年も前に秋葉原で購入したルーターを取り出し、ダイヤモンドビットをセットしておもむろに削り始める。両方の刃にダイヤモンドビットを平行に当て、均等に削る。時おり光に透かして噛み合わせに隙間が出ないように、根気よくやった。

1 時間ほどやって、とても切れ味が落ちたニッパーが出来上がった。

いやいや、無理だって。一見隙間がなくなったように見えたとしても、回転させてみるとどっかから光が漏れている。つまり切断面を平行に削れてないということだ。おそらく刃の角度も問題になってくるのだろう。手作業じゃ無理なんじゃないか?

Google 先生に聞くと、神の手を持つらしい研ぎ師のページが出た。どうやらダイヤモンド平ヤスリを使って研いでいるようだ。しかも刃の先端から噛み合わさって行って、力を入れると最後に根元が閉じるカンジに刃付けするらしい。

ただ平行にすればいいというものでもないのか。しかも高速で回転するルーターで刃付けをするのは無理かもしれない。グラインダーに一定の角度で押し付けるとかならともかく。ルーターで削って、ダイヤモンド平ヤスリで仕上げするのが良さそうだ。

ニッパーを研ぐために工具を揃えるとしたらいくらかかるのか。

肝心のダイヤモンド平ヤスリを調べると 2 千円くらいする。だがそれだけでは不足だ。刃の細かい部分を確認するためにはルーペがいると感じた。メガネのように使うものだと 1 千円程度で買える。そして刃の角度を一定にするためには、ニッパーを固定して作業した方がいい。だとする万力がいるんじゃないだろうか。バイスは 2 千円以上する。万力を使うなら作業台が必要になる。折り畳みの安いもので 2 千円くらいか。

これで椅子に座って正しい姿勢を保ちつつ刃付けできるようになった。全部揃えると 8 千円だ。

……普通にニッパーを買い直した方がいいだろ?

ダイヤモンド平ヤスリの値段を見て気づけという話だが、こうなっては致し方ない。自腹を切って工具を揃えるしかないようだ。

工具別考察

ニッパー

ご臨終となったニッパーの成れの果てを眺めて悲しみに浸りつつ、工具は正しく使わなければならないと思い知った。

そもそも銅線 ( 一般的な電気配線に使われているようなシングル・ダブルコード、アンテナ線など ) にしか対応してないニッパーで鉄線 ( 針金、ピアノ線 ) を切る事自体が暴挙なのだ。ならば最初から鉄線も切断できる、銅線、鉄線対応のニッパーを買えば良い。

ダメにしたニッパーはトップ製で、私が高校の時に 2 千円弱で買った覚えがある。今回せっかく新調するのだから、ホームセンターで安売りしているようなものではなく、それなりのものを購入したい。

ニッパーメーカーで有名どころは、 バーコ、クニペックス、エンジニア、フジ矢、ケイバ、ホーザン、トップ等々。それ以外にもたくさんあるのだろうが、見たことはない。バーコ、クニペックスは世界的に有名どころであり、それゆえに値段が高い。私にとって、実売価格が 2 千円を超えるようなものは手が出しにくい。

となると国産のフジ矢、ケイバ、ホーザン、トップのいずれかになる。性能、価格帯も似たり寄ったりなので、何となくで Google 検索 1 位になったフジ矢を選んだ。

個人的にはスウェーデン鋼を使っているバーコが良いのだが、硬いものを切断したいのであればフジ矢にも超硬刃シリーズのニッパがある。しかし実売 4 千円超だから全く手が出ない。

私が選ぶとしたら鉄線、銅線に対応したプロテックシリーズだろうか。ミニテックというシリーズもあるようだ。こちらも鉄線と銅線に対応している。

1,838 円。鉄線 φ 1.6mm、銅線 φ 2.6mm に対応。無茶をしなければ長く使えそうだ。届いた製品は、未開封なのにもかかわらず持ち手のところが茶色くなっていた。焼き入れてるんだか錆びなんだか判断に困るが、他のサイトの画像を見る限りでは、ピカピカになっているので、たぶん錆びてる。
1,114 円。鉄線 φ 1.0mm、銅線 φ 1.6mm に対応。小さいので細い作業に適している。料金的にも気軽に使えるのがいい。貧乏性だからこっちの方をメインで使ってたりして……

※ 125 とか 150 とかの数字は SIZE (mm)

※ 金額は税込

ちなみに、これ以上太い線を切断するときは、ニッパーを使うのではなく、ペンチでぶった切るのがいい。何事も適材適所だ。

ラジオペンチ

フジ矢はプライヤー形状の工具が充実している。一般人にとっては、こんなに種類があってどーするんだと思うくらい、似たような工具が作られている。

ちなみにプライヤーとは、物を掴んだり挟んだりする工具のことだ。と言っても国外と国内とでは使われ方が違う。

日本だとコンビネーションプライヤーという工具を略してプライヤーと言っている。プライヤーの規格 ( JIS B 4614 ) があるくらいだから、ペンチやニッパ同様の使われ方だ。

一方、アメリカ、イギリス辺りでは「掴んだり挟んだりする工具」という広い意味で使われている。つまりプライヤーと言って向こうの人が思い浮かべるのは、ラジオペンチやコンビネーションプライヤーを含めた工具全般だ。

フジ矢は、そういった工具専門のメーカーだ。

どうせならプライヤーも同一メーカーで統一されていると美しい。価格帯も悪くはないし、フジ矢で揃えることにした。

ラジオペンチに求められるのは物を掴む能力だ。物を掴むと言っても様々なケースがあり、繊細に掴んで傷つけたくない場合や、壊れてもいいから強力に挟み込んで、絶対に外れて欲しくないときがある。

前者は装飾品の加工する場合だろう。こういうのは先端にギザギザのないラジオペンチが適している。後者は一般的な使い道で、ギザありのラジオペンチが用いられる。私は両方必要としているから、厳選した 6 つを購入することにした。

※ この辺りからタガが外れ始める

ギザなしのラジオペンチ
1,209 円。ギザなし。
1,209 円。ギザなし、先端が曲がったタイプ。

最初はピンセットラジオペンチは 2 つもいらないような気がしていた。ストレート、もしくは先が曲がったベントのラジオペンチのどちらかがあれば、大抵のパターンで困らない。しかし、私はどちらも持っていたのだ。錆びつかせてしまったが。

両方の便利さを知っている身としては、両方欲しいと思ってしまう。必要になった時に買に行けという話もあるが、このメーカーは店で買うと高いのだ。そして、私が購入する楽天のプロキュアエースは、 Amazon の 6 ~ 7 割程度の値段設定になっている。かなり安い。だが送料がかかってしまうので、買っておかないと、長い目で見た時に高くついてしまうのだ。

しょうがない……しょうがないよ……

1,286 円。ギザなし。先端が短いタイプのラジオペンチ? この製品は、物を掴む先端が四角くなっているので、リングプライヤー替わりには使えない。一言でいうならものすごく細いリードペンチ。
1,467 円。ギザなし。先端が平らなペンチ。

ノーズプライヤーは、ピンセットラジオペンチよりももっと短くて、細かい部品を掴んだり、鉄線の先端を丸く加工したりするのに向いた工具だ。ピンセットペンチ 2 種で十分だろという声は小さくて耳に入らない。更にである。実は、壊してしまったニッパーと同時期に買った KOYAMA のノーズプライヤーを所持しているのだが、同一メーカーで揃えたかったのでしょうがないw

リードペンチはギザのないペンチだ。挟んだり平らにつぶしたりする、専用のペンチみたいなものだ。だから形状は、普通のペンチからギザと根本の刃を取り払ったものと思えば良い。万力を買えばイランだろうという考えも浮かんだが、小回りが利く小型の万力と考えれば、あって悪いものでもない……はずだ。はいはい物欲物欲。

ギザありのラジオペンチ
1,600 円。ギザあり。 125 mm の小さ目サイズ。
1,648 円。ギザあり。 ノーズが長いタイプのラジオペンチ。 170mm。

ラジオペンチは大きいのと小さいのを。よくよく考えれば、 150 のサイズひとつで良かった気がしないでもない。

ペンチ

ペンチとは強力に物を挟むことができる工具だ。挟んで引っ張ったり、つぶしたりする。さらに、ニッパーでは歯の立たない太い鉄線を切断する。

告白するが、ペンチは大きめのものを所持している。錆びついてもいないし、十分使えるのだが、ノーズプライヤーと同様の理由でフジ矢のが欲しいw

しかしペンチは高価だ。 2 千円以上する。買い物かごに入れては削除する日々。馬鹿みたいだ。かなり ( 2 日くらい ) 迷った末に買うことにした。

※ だからカートに入れたら終わりだって言ったろ!?

ラジオペンチで代用できるような小さいペンチは不要だ。ペンチの役割を考えたら、中くらいか、大きめのペンチがいいだろう。大きいのが 2 つあってもしょうがないので、それなりに小回りの利く中くらいのものを買う。

値段と性能を考えたら、テコの原理をより応用しているパワーペンチシリーズだ。

2,134 円もする。

これでプライヤー関連は一通り揃ったことになるが、ドライバー系も逝ってみるか?

プラスドライバー

プラスドライバーは JIS B 4633 「十字ねじ回し」で規格され、ドライバーの先端の、ある場所を測った長さや角度を基準寸法と±の許容差に合わせて作られる。いわゆる 1 番、 2 番、 3 番のプラスドライバーの規格だ。

一方、ネジの規格は小ねじ、木ねじ、タッピンやらあるが、 JIS B 1111 「十字穴付き小ねじ」を見ると分かりやすい。十字に刻まれた穴の直線が 2 mm であれば M2 、 3.5 mm であれば M3.5 というカンジだ。

たまに十字の縦がネジ頭の端から端まで刻まれているものもあるが、そういう場合は横の短い方を測る。十字の両方が端まで刻まれているネジであれば、溝の太さを見て、勘で。

表にすると、大体これくらいのサイズのネジに合うようだ。

※ネジのサイズは、ネジの種類や、精度にも左右されます。おおよその感覚的なものと思ってください。

番号 ネジの呼び ネジの溝のサイズ 備考
No.0 M2 以下 2 mm 以下 眼鏡や時計などに使われるネジ。精密ドライバーでさらに細かく分類されている。
No.1 M2 ~ M3 2 ~ 3 mm 身近なところだとノートPC のケースなんかに使われている。
No.2 M3 ~ M5 3 ~ 5 mm もっともよく使われる大きさ。プラスドライバーは大抵 2 番で済ませられる。
No.3 M6 5.5 ~ 7 mm かなり大きいネジ用。日曜大工をやる人は良くお目にかかるはず。
No.4 M8 ~ M10 7.5 ~ 10 mm 見たことねえ。車両用とかか?

さて、ドライバーに関してはさほど思うことはない。マキタのインパクトドライバーがあるのでハードに使用することはないだろう。かといって絶縁ドライバーを買うほど、高電圧の環境下で利用するわけでもない。

有名メーカーはスナップオン、PB SWISS TOOLS、WERA、クニペックス、ベッセル、KTC。他にも色々あるのだろうが、性能が良くて私の財布にやさしいものを選ぶとなると KTC がいいかもしれない。

プラスドライバーの 1 番と 2 番はそれほど高いものではないので、これを機に一通り揃えてみる。

KTC ソフトドライバ クロス No.1 441 円
KTC ソフトドライバ クロス No.2 502 円
KTC ソフトドライバ クロス No.3 813 円
非貫通タイプ。
マイナスドライバー

マイナスドライバーは、石を削って彫刻を作ったり、固いものをこじ開けたりするのに使う。

ん、違う? そうでもないような。

だいたいマイナスのネジなんて私が持っているキャンプ用のラジオくらいにしかない。それだって 500 円玉で開けるし、たまに出番があるとすれば上記のような使い方だし、そんな用途で使われるから、今あるマイナスドライバーは先端が欠けたりシャフトが曲がったりして、およそバール替わりに使った記憶しかない。

であれば、よりハードな使い方ができる貫通タイプのドライバーを買うことにした。

貫通タイプというのは、ドライバの先端から、グリップの後ろの方まで金属が貫通している形状のドライバーのことだ。グリップの端が金属になっているので、その部分をハンマーで叩くことで、先端がネジに食い込んで溝を掘り、よりしっかりと回すことができる、という代物なのだが、そんなハードな使い方をしていいネジなんて身の回りにはないし、家電などにそんな使い方をしようものなら本体が壊れる。

従って用途はタガネの替わりとうことになる。だったらタガネを買えよということになるのだが、タガネだって意外と高いのだ。それにタガネではこじ開けることには向いていない。

あと、マイナスネジにも規格はあるが、ネジ自体を見かけないので考慮に値しない。とりあえず小さいのと大きいのを持っておけば何とでもなるだろう。大きいのは、よりハードな使われ方をすると考えられるので、割柄ドライバというものにした。

割柄ドライバは乱暴に使われることを想定した上で作られている工具なので、上記のような使い方にはもってこいだ。

502 円。貫通タイプ。
2,174 円。丈夫な貫通タイプのマイナスドライバー。

以上が、ニッパーを購入しようと決めたことから始まった散財であり、電気回路に興味を向けることになったきっかけだ。

とりあえず、部屋が逼迫してきたので、だんしゃって ( 断捨離 ) スペースを確保しなければならないらしいが、ブレッドボード ( パズル感覚で電子回路が組める基板 ) が欲しくなる今日この頃。

電気工事士の資格でも取るつもりなんだろうかと黄昏てみたり。

Updated: 2015/7/29 水曜日 — 12:06:29

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