停車時バッテリー充電
前回、バッテリー上がりで懲りた私は、予防措置をとることにした。月に数回程度しか運転しない車は、バッテリーの消耗が早くなる。どうにかして、充電してやらなければならない。しかし、いちいちバッテリーを取り外し、専用の充電器で充電するのも面倒だ。第一充電器も持ってない。なるべく楽をして充電させるには、ソーラーパネルを使った充電しかない。
というわけでソーラーチャージャー SE-135 を購入してみた。メーカー公表だと、好天時 1 日あたり約 8Wh のチャージが期待できる、らしい。
バッテリー容量
車検で交換されたのは BOCHE の HTS-55B19L というバッテリー。容量は 5 時間放電率で 36Ah ということなので、
36Ah * 5h = 180Ah ※ 2009/07/07 訂正
180A の電流を 1 時間流し続けられる容量ってことになるかな?
※ 違います。
5 時間率で 36Ah ということは、 7.2A ( = 36Ah / 5h ) の電流を 5 時間流し続けることができる、という意味です。 5 時間以上はバッテリーの電圧が下がって、その電流では無理ですよ、という意味です。
というわけで、いままで BOCHE HTS-55B19L は 180Ah で計算していたのを、 36Ah で計算し直し、記事を修正しました。
この記事を見ている方がどれだけいるかは分かりませんが、ご迷惑をおかけしました。
ごめんねごめんね~。
SE-135 は 8Wh/日 だから、これを Ah/日 に変換して、年間どれほどチャージできるか計算してみる。
SE-135 の年間チャージ量
電力 = 電圧 × 電流 なので
W = V * A・・・①
1 時間あたりの容量ということで、①の式の両辺に h をかける。
Wh = V * Ah・・・②
SE-135 のシステム電圧はカーバッテリーと同じ直流 12V であり、 1 日 8Wh を得られるとする。
8 = 12 * Ah
Ah = 0.67・・・③
ということは、 1 日あたり 0.67 Ah を得られるという計算になる。
③は 1 日あたりのチャージ量なので、年間にすると、
0.67Ah * 365 = 244Ah/年・・・④
BOCHE HTS-55B19L のバッテリー容量である 36Ah を、 6.7 倍も上回っている。これならバッテリー上がりの心配はないだろう。計算上は。 ( ※ 2009/07/07 修正 )
しかし人生晴れの日もあれば曇りの日もあるわけで、気象庁のページによれば、 2008 年 8 月で仙台に完全に降水がなかった日を調べると、 3、 7、 8、 9、 27 の 5 日のようだ。
( 8 月を選んだのは 1 年の中で最も太陽光が強いと思ったから )
全天日射量はそれぞれ、23.20MJ/㎡、 26.12MJ/㎡、 24.83MJ/㎡、 16.36MJ/㎡、 18.89MJ/㎡ であり、平均すると 21.88MJ/㎡ になる。
好天時における全天日射量は約 20 MJ/㎡ くらいかな? 20 MJ/㎡ の日 ( 好天時 ) に SE-135 で 8Wh/日 が得られると考えて計算してみよう。
2008 年の仙台の日照量は平均並み。各月の全天日射量を平均すると、
(8.5 + 11.5 + 14.2 + 15.1 + 15.7 + 17.9 + 13.5 + 11.7 + 11.4 + 10.3 + 8.2 + 7.5) / 12
= 12.125MJ/㎡ になる。
これは 20MJ/㎡ の 60% でしかない。
ということは、④の結果に 0.6 をかけて、
244Ah/年 * 0.6 = 146.4Ah・・・⑤
これが 1 年間に得られるチャージ量のはずだ。
BOCHE HTS-55B19L のバッテリー容量である 36Ah を、 4 倍上回っている。これならバッテリー上がりの心配もかなり減らせるだろう。 ( ※ 2009/07/07 修正 )
※ エンジンをかけない車は 3 ヶ月で自己放電してバッテリーが上がってしまうらしいが、SE-135 をつけておけば、いつでもフル充電状態になると計算できる。理論上は。そして私が思い違いをしていなければ、だが…
計算して気が済んだところで設置である。理屈っぽい男だ。
SE-135 の取り付け
一般的な使い方としては、 SE-135 をフロントガラスに貼り付け、端子をシガーソケットに挿すだけなのだが、ここでひとつ問題が。
※ シガーソケットが常時通電しているタイプでないと、キーを差し込んでいないと充電できないのである。
シガーソケットが常時通電しているタイプかどうかを調べるには、キーを差し込まない状態でシガーソケットを押し込んで、発熱するかどうかを確認してみれば良い。ほとんどの日本車が NG のはずだ。
というわけで、どうにかして常時通電しているシガーソケットを作らなければならなくなった。 SE-135 には、ヒューズボックスからの電源取り込み用配線と、シガーソケット・メスが付属してきた。
ということは、 MR-S のヒューズボックスを探し、ルームランプなどのヒューズを取り外し、代わりに電源取り込み用配線を着ける必要があるということだ。
「ヒューズボックス? 何それ?」程度の知識しか持たない人間が、設置できるのだろうか?
発想の転換をしてみた。自作 PC が作れるなら、電装程度なら何とかなるのではないか? 根拠のない思い込みでグーグルパワーを消費した。使っても使ってもパワーが衰えないのが良いね。
【クルマいじりのネタ帖 ヒューズボックスから電源を取る】エーモン工業 オフィシャルWEBサイト
電源取り出しパーツを作っているメーカーだけあって、分かりやすい図が書いてある。どうやらヒューズを外して、電源取り出しパーツをヒューズの代わりに差し込めば OK のようだ。とは言いつつ分からないことだらけなので、順を追って確認していこう。
用意・確認するもの
- デジタルテスター (近所の DIY で \1,500)。検電テスターの方が安くて楽かも。
- SE-135
- SE-135 に付属のシガーソケット
- SE-135 に付属の電源取り込みパーツ (シガーソケットメス)
- MR-S のヒューズボックス位置は助手席ダッシュボード脇にある
- ヒューズを引っこ抜くためのラジオペンチ (ヒューズが硬い)
- 電源取り込みパーツから、車体のどこかのボルトへボディーアースを取るために使うモンキレンチ
1. MR-S のヒューズボックス確認
MR-S のヒューズボックスは、助手席ダッシュボードの左脇にある。
ドアを開いて、パネルを爪で取り外すとこのようなカンジに。
MR-S では、通常のヒューズより一回り小さいミニ・ヒューズが使われている。それにしてもレンズの絞りを開放しすぎたか。ボケさすなよ……
MR-S 取り扱い説明書によれば、左上から順に、
1 | WASHER 10A | ウォッシャー |
---|---|---|
2 | HTR 10A | ヒーター |
3 | WIPER 20A | ワイパー |
4 | ECU-IG 7.5A | ABS, EHPS |
5 | FAN-IG 7.5A | ファン |
6 | TURN 7.5A | 方向指示灯 |
7 | GAUGE 7.5A | メーター、後退灯、ボディーコンピュータ |
8 | SRS 7.5A | エアバッグ |
9 | DEF 25A | デフォッガー |
10 | OBD 7.5A | ダイアグノーシス |
11 | AM1 7.5A | 点火系、アクセサリー、IG1 |
12 | ACC 25A | シガレットライター、オーディオ、時計 |
13 | DOOR 15A | ボディーコンピューター |
14 | FR FOG 15A | フォグランプ |
15 | STOP 15A | 制動灯 |
16 | TAIL1 20A | 尾灯、番号等、車幅等 |
17 | DP/W 20A | 運転席パワーウィンド |
18 | PP/W 20A | 助手席パワーウィンド |
19 | RADIO1 15A | オーディオ |
20 | DOME 10A | 室内灯 |
21 | ECU-B 10A | ワイヤレスドアロック、リヤフォグランプ、メーター |
22 | TAIL2 10A | 尾灯、番号灯、車幅灯 |
23 | PANEL 7.5A | 各スイッチ照明、エアコン照明、オーディオ照明 |
24 | RADIO2 7.5A | オーディオ、時計 |
25 | CIG 15A | シガレットライター |
26 | I/UP 7.5A | メーター |
ヒューズボックスの電源
ヒューズボックスには、常時電源、ACC ( アクセサリー ) 電源、 イルミネーション電源、キースイッチ ON 連動がある。
常時電源 | 常に電気を供給している |
---|---|
ACC 電源 | キーを ACC の位置まで回したときに電気を供給する電源 |
イルミネーション電源 | スモールランプを点灯させたときに電気を供給する電源 |
キースイッチ ON 連動 | キースイッチを ON の位置まで回したときに電気を供給する電源 |
2. SE-135 付属の電源取り込みパーツのヒューズをミニ・ヒューズに変更
SE-135 に付属の電源取り込みパーツ (シガーソケットメス)には通常の大きさのヒューズがついている。これをミニヒューズに変更する。パーツの中ほどにヒューズボックスがあるので、爪で開いて、変更するだけ。
ちなみに付属ヒューズの規格は 15A だった。電源取り込みパーツのヒューズに被さっているカバーを外さないと、 MR-S のヒューズボックスには挿さらないので外しておく。
これで取り付け準備は整った。
3. テスターの試用
電池計測
テスターなんて中学校あたりの工作で使ったくらいである。説明書を読みながら、直流 2000mV ( = 2V 。電池は 1.5V ほどなので、ちょうど良い ) に合わせて、充電式電池の電圧を測ってみることにした。
1.2V ある。かなり元気だ。
家庭用コンセント計測 ( 注意! )
今度は交流 200V にして、家庭用電源のコンセントに差し込んでみると 100V を指し示した。
使い方としては OK のようだ。
※ 家庭用のコンセントに金属端子を突っ込むことになるので、ショートさせないように注意すること。
直流 20V にセットしてヒューズボックスを調べればいいかな。
4. ヒューズボックスについての考察
素人なもので、ヒューズボックスの仕組みが分かっていない。
ヒューズ部分には常時電圧がかかっているのだろうか?
たとえばルームランプのヒューズは、キーを差し込んでいなくても電圧がかかっているはずだ。でなければ、ドアを開けてもランプが点かない理屈だ。たしか、ドアを閉めているときはアース側の電圧が 12V になっていて、開けたときに 0V となって電流が流れる仕組みだったと思った。
しかし、ルームランプの DOME 10A はそうであるとして、フォグランプの FR FOG 15A あたりも常時通電なのだろうか? それとも、エンジンをかけたときだけ通電する仕組みなのだろうか?
前者であれば問題ないが、後者であれば、どのヒューズを使うか考えなくてはいけない。ルームランプは 10A なので、なるべく付属ミニヒューズと同じ 15A のところを使いたいのである。
実際にテスターで調べてみた。テスターの黒い末端を車体のボルト (金属部分) に接触させてアースする。もう一方の赤い端末をヒューズ表面の金属部分に接触させる。
※ ちなみに、ひとつのヒューズには 2 箇所の金属部分があり、一方がプラス、一方がマイナス ( アース ) になっている。テスターのアース側はマイナスになるので、ヒューズはプラスの方に当てないと電圧が計れない。
なんと、キーを差し込まない状態でも FR FOG 15A で 12V の電圧が来ていた。ためしに DOME 10A でもやってみたが、こちらも 12V 来ていた。
というわけで、 FR FOG 15A に SE-135 の電源取り込みパーツを取り付けた。
※ 大寒波の中の作業だったため、他のヒューズすべてに電気が来てているかどうか? を調べる気力はなくなった。寒い…
5. 電源取り込みパーツの取り付け
説明書にある通り、ヒューズのプラス側に、取り付けパーツのコードが来るように挿した。ヒューズを逆に差し込むと、ヒューズが切れることもあるらしい。
アースは助手席のつま先を伸ばしたあたりにあるボルトを拝借。ちょうど良いナットが余っていたので、上からレンチで締めてアースを挟み込んだ。
念のため、キーを差し込まない状態で取り付けパーツのメスシガーソケットが生きているかをチェック。テスターでやってもいいのだが、通電すると LED が光る AC-DC インバータを持っていたので、キーを差し込まない状態で、インバータシガーソケットを挿し込んでみた。ちゃんと LED が点灯したので通電していると分かった。
6. SE-135 の取り付け
SE-135 は助手席側のフロントガラスにぺたっと貼り付ける。線を、助手席の足元に隠してあるメスのシガーソケットに取り付ける。
そのままだと配線が目立つので、ダッシューボードの脇のボルト 2 箇所をモンキレンチで外し、無理やり端の方から線を押し込んでやった。線が隠れてすっきりした。
これでバッテリー上がりの心配が減ったかしら。
と思ったら、駐車場は一日中マンションの日陰になってるじゃないかぎゃふん。
夏、陽が高くなったときにどうなるかだな……
2009.06 になったら、太陽の傾きが変わって朝から日光全開 OK
BOCHE HTS-55B19L のバッテリ容量を、今までは 180Ah で計算していたのを、 36Ah で計算し直しました。
えらいすんませんでした。