Bloody Mary - blog

Bloody Mary 別館

冬の長道

失敗を取り繕う

その日は 6:00 に起床した。何故そんな真夜中に?

およそ 1 年ほど前になるだろうか。次の趣味はキャンプだと息巻いて買ったダンロップ R-224 というテント。それから半年が過ぎた 2 回目のキャンプ。あまりの寒さに、深夜、ペンライトの光を頼りに、シングルバーナー(携帯用コンロ)に火をつけて暖を取っていたところ、何かの拍子に衝撃を与えてしまった。それは確かに小さな衝撃だったのだ。

それなのにシングルバーナーのやつときたら、亭主の浮気を知った奥さんみたいに激怒した。爆発めいた炎が上がり、人の気配が希薄な自然の漆黒を、オレンジ色に染め上げた、らしい。後から同行者に聞いた話だが。テントは熔けて手と首筋に降り注ぎ、おかげさまで何週間かは火傷の治療をする羽目になった。医者嫌いのため、病院へは行かなかったが。

問題のテントは、穴が開いたまま何ヶ月も放置されることになった。補修するつもりで買ったハギレも、布を縫い合わせるのが面倒だったため、ほったらかしである。

ある日、針と糸を手に取り、何となく縫い始めた。 1 辺を縫うのに 30 分もかかった。 大きく開いた穴は 2 箇所である。たたんだテントでは縫いにくいので部屋の中でテントを組み上げてて、傍から見れば何をやってるんだと疑問に思うことだろう。涙ぐましい努力の結果、テントの補修は終わり、使えそうだと判断を下した。

3 日もかかった。

リベンジ

というわけで、 6 時に起床したのは補修したテントの性能テストのためである。

重い荷物の搭載に手間取り、あらかじめ決めておいた待ち合わせ場所へ 10 分遅刻して到着。ガソリンを入れて、 7:00 出立。 45 号線を東に進み、 4 号線を南下。目的地は福島のキャンプ場。いよいよロングツーリングの開始である。

仙台から名取まで、渋滞するのはいつものことである。名取を過ぎたあたりからようやく空いてきたなと思ったら、今度は信号につかまり始める。岩沼市から白石市を過ぎ、福島市までは止まってばかりだった気がする。

途中、珈琲休憩を挟んだが、寒い。とにかく寒い。気温は 7 ℃前後と、厚着すればさほどでもないような感じを受けるが、初心者ロングツアラーにとっては命取りである。
平均時速 60 km/h の走行で秒速 16.7 m の風を受け続ける計算だ。風速 1m につき 体感温度は 1 ℃低くなる。 -10 ℃近い体感温度を数時間に渡って耐え続けなければならないのである。

タンクトップにブレスサーモのシャツ、薄いジャンパー、ボードウェアという、ボードだったら間違いなく暑苦しい出で立ちでさえ、 16.7m の風にはまったく歯が立たない。ボードウェアの内側に白金カイロを仕込んでいたのだが、小刻みに体が震えてしまう。

おそらく、ジッパーを上げても襟元から風が入ってくるのと、ボードウェア全体がばたついて、内側の熱を拡散してしまっているのだろう。そして、ブレスサーモは直接素肌に着るべきだった。汗を吸収して発熱するブレスサーモの特性上、間に下着が入っていると、性能をフルに発揮できないのである。ブレスサーモの上にセーターを着ればよかった。

耐え切れず、 2 回目の休憩でホッカイロを購入、ブーツとグローブに仕込んで走った。それでも余裕で寒いのだから、その寒さは推して知るべし。

福島に入ったら片側交通規制で渋滞。ノロノロ運転。この頃から iPod で音楽に逃避。

二本松市、本宮市を経過。郡山市あたりで、「本当は会津にしようと思ってたけど、風が強いから南下しよう」と言われる。おい。まだ走る気か。

嫌になるほど 4 号線を南下、郡山市から須賀川市、二本松市、本宮市を経過。白河市のあたりで 294 号線に入る。ぐねぐね回ってさらに南下。

道の駅「東山道伊王野」で名物の水車で挽いた蕎麦を食べる予定だった。わくわくしながらバイクを停め、店に入って棒立ちになる。順番待ちの人たちが並んでいる。失礼ながら、人口密度の低い地域にしてはありえない光景だ。どこからこんなに人が来るのだろう? よほど美味いと評判なのか。ちょうど昼時ということもあだろう。それにしても、だ。泣く泣く道を引き返して、途中にあった蕎麦屋で遅めの昼食を取った。 3 度のご飯より蕎麦好きな私には酷な話である。お土産の蕎麦ではあまり慰めにならない。

294 号線を引き返して「東山道伊王野」まで戻ってさらに南下し、右折だか左折だかして砂利道を進み、蒲公英村というキャンプ場にたどり着いた。

テント設営
バイクとテント たんぽぽ村 梅

食材を買出ししつつ、薪を燃やすために拾ってきた小枝に火をつけるが、コレがまた全然燃えない。昨日雨が降ったせいで湿っているようだ。仕方がないので、購入した薪にコンロで火をつけた。
炭の方は着火材を使って火をつけた。風が強いので勝手に燃えてくれる。難点は火力が上がりすぎることだ。全ての食料に火が通る前に燃え尽きてしまった・・・

風の強い夜の炭火 風の強い夜の焚火

バルブを開いて方っておくだけで膨らむマットに、空気を入れてさらに膨らまし、シュラフとインナーシュラフでちょうど良い暑さだった。私は基本的に暑がりだから、気温は寒い方だったのだろう。
風が強すぎて湯冷めしそうということで温泉にも入れなかったのがツライ。感覚的には、キャンプじゃなくて山登りのような苦行に近い。

たんぽぽ村の空 梅と蜂

翌日も同じ思いで帰宅。 10 時に出発して 17 時過ぎに帰宅した。

燃費

どうでもいいいことだが、燃費はかなり良かった。往復 500km の道のりを、満タン 2 回の給油で走れた。通常 HONDA XR250 の燃費は 20km/L くらい。ガソリンタンクは 7L くらいだから、 2 回の給油で 14L になる。つまり、 500km を 14L で走ったことになる。燃費は 35km/L だ。ガソリンがバカ高いのを気にして、いつもより高いギアで走ったのが効果的だったようだ。

Updated: 2012/6/5 火曜日 — 15:58:35

1 Comment

Add a Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Bloody Mary - blog © 2008 - 2021