足回りの変更
ガソリンも入手できない、バッテリーは上がっててエンジンはかからないわで、バイクより自転車がイイと思ったあの日。
近所の自転車屋で GIANT の ROCK を購入した。今にして思えば良く 4 万円も出そうと思ったものだが、入門機としてはそれが最低ラインのようだ。
その日から、いつ震災が来ても大丈夫なように 2 [回/月] 以上のペースでチェーンの汚れ落とし&注油と空気圧の調整、ボディ回りの拭き掃除を行ってきた。必要な時に起動できないバイクを前に、最低限のメンテナンスは必須と思い知ったからだ。
しかし、それは最低限に届いていない整備だった。そのことに気づいたのは先日、初めて自転車がパンクしたときだった。
パンク修理
その日はいつも通りに家を出た。決まりきった行動パターンに従って駐輪場に向かい、自転車の鍵を開け、いざ乗ろうとするとごわごわとゴムの音がする。タイヤをチェックしてみば、後輪がパンクしていた。
「やべぇ……」
スピードメーターで時刻を確認すると、業務開始まで 10 分もない。一瞬、遅刻の電話をかけようかどうか迷ったが、携帯は自室だし、取りに戻るくらいなら会社に向かった方が早い。
とりあえず走った。ここ 1 年マラソンをさぼっているせいで非常にツライ。というかマラソンでこんな速度は出さない。息を切らし、冷や汗だか何だか分からない汗を背中にかきつつ、ギリギリセーフ。
昼休みに家に戻り、タイヤに空気を入れるとちゃんと入る。しかし夕方になるとぺしゃんこになっていた。やはり小さな穴が開いてパンクしているようだ。ついに 500 円程度で買ったパンク修理キットが役立つ日が来たらしい。
といってもチェーンに注油するのがせいぜいの素人だから、 Google 先生に聞いた内容をおっかなびっくりだ。
1. クイックリリースで後輪を外す
クイックリリースは、工具なしでフレームからタイヤを外すことができる。前も後ろも同様だが、後輪にはギアがついているので油まみれになる。ギアを傷つけないよう、慎重にチェーンを外す。
2. 空気穴のボルトをすべて外し、タイヤから空気を抜く
3. ホイールからタイヤを外す
タイヤレバーを使って、ホイールからタイヤの表側を外す。タイヤの表側が外れれば、その隙間からチューブを抜くことができる。
タイヤの内側を軽く拭き掃除したかったので、タイヤもチューブも全部外す。チューブを引き抜くだけと、全部外すのとでは、感覚的には前者の方が手間はかからなそうに思えるが、実はまったく同じだ。だったら全部外してしまった方がいい。
4. チューブの補修
チューブに張りつめる程度に空気を入れ、水を入れたバケツに浸し、空気が漏れている箇所を探す。
場所を特定したら表面の水分を拭き取り、パンク修理キットに付属してきたサンドペーパーで表面を荒らす。
荒らす面積はパッチより一回り狭くすればいいのかな?
ちなみにパンク修理キットに付属してきたのはタイヤレバー × 3 本、サイズ違いの 4 種類のパッチが 3 枚くらいずつ (計 12 枚ほど)、ゴムのり、空気穴のキャップ × 2 個、虫ゴムが 3 本くらい。
チューブの空気漏れ箇所を特定したら、その表面を固く絞った雑巾などで念入りに拭く。絞ったウェスだと綺麗になる。そして良く乾かす。
次にゴムのりを薄く塗る。
※ この時、ゴムのりを塗る面積はパッチの大きさ以上にすること。
乾くまで 3 分ほど待ってからパッチを当てる。タイヤレバーの曲面などで強くこすって圧着する。さらにハンマーで叩くと、化学反応で接着が強固になり、良いらしい。といってもほどほどに。
フィルムを剥してチューブに軽く空気を入れる。
これでパンク修理は終わりだが、他にも空気漏れがないかどうかをチェックする。あれば(略)。
5. タイヤの内側を掃除
タイヤの内側を水拭きする。チューブの表面も同様に拭く。ホイールも同様に。そしてパンクの原因となるゴミがあれば取り除く。
6. ホイールにタイヤをはめる
ホイールにタイヤの裏側をはめる。少し空気を入れたチューブを入れ、チューブを挟まないようにタイヤをホイールにはめる。チューブをタイヤにつぶされていないかを慎重に確認しつつ、空気を入れる。
問題なさそうであれば、空気穴のボルト、キャップをはめ戻す。タイヤを戻して終了。
タイヤ交換
パンクの修理は店でやってもらうと \1,000 位とられるが、自分でやるとプライスレスなのがいい。パンク修理ができるようになると面白くなってのめり込んで行くから、えらいお金がかかってしまう可能性があるが。
案の定、タイヤ交換をした時に気づいてしまったのだ。ブレーキパッドがすり減って下地が見えてしまっていることに。だからホイールの表面が傷だらけなのか。
薄々分かってはいたが、タイヤ表面もひび割れして、タイヤ交換が必要なレベルだ。止む無く交換することにした。
タイヤは人気のある SCHWALBE (シュワルベ) の MARATHON (マラソン) が良さそうだ。耐久力があって、数年は持つだろう。Amazon で \4,000 程度。
現物を見ようということで、大手自転車屋に行ってみた。マラソンはないが、タイヤ交換の料金を確認すると、 1 本あたり \4,000 と書かれている。タイヤは安物を使うだろうから、逆算すると工賃 \1,500 くらいか。
結構かかるなとおもいつつ個人経営の自転車屋に行ってみることにした。しかしない。取り寄せると \6,000 ほどかかると言っていた。工賃は含めてあげようと言われたが、前後で \12,000 は高い。チューブやリムテープを交換するとなると \15,000 くらい。
考えてみるわと言って自宅に引き返し、色々調べてみると、ナチュラムでタイヤ、チューブ、リムテープを購入すれば 1 万円でおつりがくることが分かった。
パンク修理もしてタイヤ交換のやり方も分かっているし、いっちょやってみるか。
ということでネットで注文することにした。
タイヤのサイズについて
GIANT ROCK 2012 のページを見ると、タイヤのサイズは 26 × 2.1 (54-559) 。これはタイヤの太さが 54 mm、タイヤの内径が 559 mm ということだ。いわゆる 26 インチの太めのタイヤ。
世の中の風潮として、やれアスファルト MTB 乙w だの、走ってるとブロックパターンが轟々うるさいだの、スタートが重いだの言っているが、私はそのような軟弱な考えとは無縁の人間だ。
とりあえずタイヤの太さを 2 段下げてみることにした。
商品名 | 個数 | 料金 |
---|---|---|
SCHWALBE MARATHON 26×1.75 | 2 | \6,220 |
SCHWALBE チューブ 仏式バルブ 26X1.50-2.10 | 2 | \2,560 |
SCHWALBE ハイプレッシャー リムテープ 14-559 ペア | 1 | \430 |
だってタイヤが太くて自転車止めに入らないと、駐輪場に止める時とか不便なんだもの。決して「走るのが楽になるぜぐへへ」などという考えはないのである。あったとしても 4 割好奇心で、残りの 2 割が物欲と金銭的な葛藤で、その残りくらい?
リムテープはチューブをリム打ちパンクから保護するプラ製? のリングだ。ホイールとチューブの間に貼りつけておく。 ROCK のホイール規格を知らないので 14 mm 幅で本当にいいのかとか考えたが、答えはどこにもないのでとりあえず購入してみることにした。
それと、チューブを高圧にするほどタイヤが転がって漕ぎやすくなるので、高圧対応の仏式バルブチューブを選択した。あまり高圧にすると乗り心地が悪くなるから、入れたとしても 5 気圧程度になるだろう。もしくは最低の 3 気圧程度で済ませるかも。
気圧管理が必要になったので Panaracer(パナレーサー) 楽々ポンプ (ゲージ付) \1,900 も購入。
ブレーキシューは絶対に交換が必要なので、前後のブレーキ用にシマノ M70T3ブレーキシューセット (2個) \1,584 を購入。
散財能力が覚醒したのか、シマノ PEDALING DINAMICS SPD ペダル PD-A520 \4,763 を買ってしまった。これはビンディングシューズの靴底にペダルをくっつけるためのパーツだ。
ということはビンディングシューズを購入しなければならないのだが、ナチュラムでは売っていないようなのだ。別の店に聞いたらシマノのシューズは品薄で冬にならないと入荷しないらしい。とりあえず注文だけした。 1 万円だった。
タイヤ交換は、パンク修理と同じ手順で実施できる。むしろパッチ宛て作業がない分、パンク修理よりも容易い。必要工具は、 V ブレーキを解放する六角レンチ (5mm。確か) と、タイヤレバーが 2 本もあればいい。空気入れは絶対にいるが。
タイヤの履き替え
商品が届いたので早速タイヤを交換する。
画像はもともと履いていた 26 × 2.1 と、今回購入したシュワルベのマラソン 26 × 1.75 だ。 1.75 の方がどう見ても早そうだ。
まずはリムテープの交換から。ホイールから古いリムテープを剥がす。よく見ると空気穴の付近が荒れていた。おそらくこことチューブがこすれてパンクしたと思われる。
次にシュワルベのリムテープをはめるわけだが、 14mm 幅のリムテープだとやや狭かったようだ。
画像では分からないと思うが、ホイールの真ん中は一段へこんで、溝を刻むようにして一周している。リムテープはそ幅より少し広いくらいなので、端っこが溝に落ちてどっちかに傾いてしまう箇所が出てくる。気長に直せなくもないのだが、リムテープを破損しそうで怖い。
ともあれ、スポーク穴の部分は隠せているので、このまま使ってみることにした。ダメなら 20mm のリムテープを買ってくるまでだ。
ここで一工夫する必要があった。
ROCK のチューブバルブは英式と呼ばれるものだが、今回購入したチューブは仏式である。両者はバルブの太さが異なる。英式は 8.2mm、仏式は 6.3mm。 ホイールのバルブ穴は当然 8.2 mm に対応している。仏式バルブを入れると、約 2 mm の隙間が出る。実際はもっと開いているだろう。これが問題になる。
仏式のチューブは、高圧で空気を入れることが多いので、ホイールの僅かな隙間からチューブがはみ出してしまうことがあるらしい。その対策に英仏コンバータとかスペーサーとか必要らしいのだが、そんなの知らんかった。しょうがないのでネット情報にあった M6 のワッシャーでお茶を濁すことにした。
M6 ワッシャーの穴径は 6.5mm 位ある。仏式バルブの直径は 6.3mm なので十分通る。
ワッシャーをリムテープの裏側にそろそろとはめ込む。
後はパンク修理のときと同じ感じで、チューブとタイヤを元通りに戻してフレームにはめ込むだけだ。
ブレーキパッド交換
タイヤが終わったらブレーキパッド(シュー)の交換。
上が新品で下が今まで使っていたブレーキパッド。見るも無残なことになっている。こんなのに挟まれたら、ホイールも荒れるわけだ。
必要工具は六角レンチ (5mm) と 2 番のプラスドライバーのみ。
1. V ブレーキにブレーキパッドを仮止めする
六角レンチ (5mm) で締める。
2. ブレーキの握りとブレーキの利きがちょうど良い感じでワイヤーを止める
3. ブレーキパッドを本止め
ブレーキパッドをフリーにした状態でブレーキを握り、ホイールのちょうど良い部分に止まるように軽く止める。
次にブレーキを思い切り握り、ブレーキパッドを本締めする。
4. 片利きの調整
2 番のプラスドライバーで、ブレーキの左右についている小さなネジを緩めたり締めたりすることで片利きを調整する。
「左のネジを 90 度緩めたら、右のネジを 90 度締める」もしくは「左のネジを 90 度締めたら、右のネジを 90 度緩める」。これを繰り返しながら調整する。全然合わねえよ、とかいう場合は、ブレーキシューにスペーサー噛ませるしかない。あるいはブレーキ自体交換か。
私の場合、合わないように思えても、やってるうちに何とかなったケースが多かった。
以上で足回りの整備は完了。
最低限の整備は、月 2 回以上のチェーンへの注油と掃除、数ヶ月に 1 回のブレーキパッドの確認、たまにボディの拭き掃除といったところじゃないかと。
ちなみに、チェーンへの注油はドライ系、ウェット系とかがあるが、私は面倒くさがりなので長持ちするウェット系を使っている。