2008 年 12 月に購入した Eee PC 1000H は 古参兵の風格を漂わせている。
時に熱帯雨林にも似たバスルームで演劇を披露し、日々ノート PC スタンドに宙吊りにされたまま書物のように振舞う。
4 年間に渡る激闘で ESC キーはなくなって基盤が剥き出しになり、液晶は回復不能な滲みとラインが浮き出しているが、機能面では現役だ。新品のバッテリーを支給したから 8 時間以上の体力を持つのだ。
性能的には 3 世代ほどの隔たりはあったが、質実剛健。あまり不便さを感じたことがなかった。ネットで検索したり、文章を書いたり、たまにゼンリンでナビ代わりに使っているくらいだから、 CPU パワーを必要としないのである。
物理的にあと 2 年くらいは使えるだろう。
というわけで Ultrabook に分類される ASUS U24A-PX3210 ( Core i5 3210M ) を購入した。
脈絡www
Botchy World さんのCPU性能比較表 を見ると、 ATOM N270 を 100% としたときに、Core i5 3210M の CPU で 1476% 、 SYSTEM で 1090% 。 10 倍速いと言われてしまっては、買わざるを得ない。
たぶん、私は悪くない。そう、悪い人間なんて何処にもいないんだ!
ついでにメモリを 16GB にして、 HDD を SSD 化することにした。これで、至上の使い心地が得られるだろう。
本体 4.8 万円、メモリ 0.6 万円、SSD 0.8 万円で、だいたい 6.2 万程度かかった。
やばい、今月予定していた赤道儀が買えない……
U24A の SSD 化
まず HDD のバックアップが必要だ。簡単そうだったのが USB 起動の PBTM というツール。もちろんフリー。
フリーのソフトを使わせてもらって何だが、紹介ページが非常に分かりづらい。具体的に何が必要なのか、どういう作業をすればいいのかを直感的に理解したいのに、いちいちコマーシャルやベンチマークをはさむものだから、思考がぶったぎられて非常に疲れる。
というわけで、自分なりに備忘録としてまとめておくことにした。
内容は、 U24A にもともとついている 750GB HDD を 120GB SSD に換装する方法。 HDD イメージの引越し。リカバリ領域の削除。
用意したもの
- ASUS U24A 本体
- Intel 330 SSDSC2CT120A3K5 (120GB SSD)
- USB2.0 メモリ 8GB ( USB 起動の HDD バックアップツールである PBTM をインストールしておく)
- USB 外付け HDD ケース ( 3.5 インチ HDD 用のもの。容量は 100 GB もあれば十分。NTFS でフォーマットしておく)
- USB 外付け HDD ケース ( 2.5 インチ用のものがあれば便利。なくても大丈夫。 HDD ケースには SSD を入れておく )
A. オリジナル HDD のイメージをバックアップ
A-1. 起動準備
U24A に PBTM をインストールした USB メモリを挿す。
U24A に USB 外付け HDD を挿す。
A-2. PBTM 起動
U24A の電源を入れる。
ESC キーを連打して USB から起動し、 PBTM を立ち上げる。
A-3. HDD イメージのバックアップ
バックアップツールを起動し、 750 GB の HDD イメージを外付け HDD にファイルとして保存する。 5 時間くらいかかる。
B. HDD のパテーション変更
B-1. パテーションツールの GParted を起動する
まずは各パテーションを以下のように変更した。
パテーション | オリジナル容量 | 変更後の容量 | 備考 |
---|---|---|---|
/dev/sda1 | 200MiB | 変更なし | boot |
/dev/sda2 | 128MiB | 変更なし | msftres |
/dev/sda3 | 279.45GiB | 50GiB | OS 領域 |
/dev/sda4 | 393.86GiB | 3GiB | データ領域。工場出荷時ではほとんど未使用。削除予定。 |
/dev/sda5 | 25GiB | 8GiB | リカバリ領域。削除予定。 |
SSD アライメント
SSD のパテーション開始オフセットが 4096 で割り切れる数値になっていないと、 SSD の書き込み速度が遅くなってしまう。
しかし GParted は 1 MiB 単位で開始位置を決定できる。
1 MiB は 2^20 B のことだ。つまり 1,048,576 B(バイト)。
1,048,576 / 4,096 = 256
普通に /dev/sda3 のパテーションを縮小するだけで、 4096 で割り切れる数値になるはず。( SSD 換装後に、そうなっていなければ開始位置を 1 MiB にして、パテーション全体を後ろにずらせば OK)
これが SSD アライメントという、 SSD の書き込みを高速にするためのノウハウだ。
実際、 SSD 換装後のパテーション開始オフセットは 1,048,576 になっていたので OK 。
B-2. パテーション変更後イメージのバックアップ
バックアップツールを起動して、パテーション縮小後のイメージをバックアップする。
1 回目に取ったバックアップのイメージだと、容量が大きいために SSD にリカバリできないのだ。
2 回もバックアップを取るのは面倒だが、何かあったときに短時間 (60GB分) でリカバリできるというメリットもある。
B-1 の通りにパテーションを変更すれば、今度は 60GB くらいのサイズで済む。最初 (750GB) のバックアップよりはだいぶ時間が短縮される。それでも 1 時間くらいはかかると思うが。
というわけで、前と同じ手順でバックアップする。
C. SSD へのデータ移行
C-1. SSD に 60GB イメージをリカバリ
PBTM を起動した状態で、 U24A に別の外付け HDD ケースを接続。これには SSD が入っているものとする。
もし外付け HDD ケースが 1 台しか用意できない場合は、この時点で本体の 750GB HDD を SSD に入れ替える必要があると思う。
HDD から直接 SSD にデータを引越しできればこんな苦労はしなくていいのだが、PBTM はいったん HDD イメージをファイル化しなければならないのだ。
外付けケースが 2 台用意できたとしたら、 SSD は /dev/sde になったはずだ。まあ HDD ケースを 2 つ挿したまま起動するとドライブ番号が変わったりするから、容量とかで特定するのが良い。
で、 SSD に 60GB イメージをリカバリできたものとする。
気をつけたいのは、リカバリした SSD をパテーションツール GParted で見ると、認識されない一連のパテーションになっていることだ。 5 つのパテーションがあるはずなのに、 1 つしか見えなくなっている。 SSD を正常に認識できていないようだ。
データは移行できている ( リカバリされている ) ようなので、もうこのまま SSD を換装してしまおう。
C-2. U24A の SSD 換装
U24A に SSD を取り付ける。ついでにメモリも増設した。
C-3. U24A を SSD から起動してみる
Windows が起動できるかどうかを確認してみる。 Windows のセットアップすらしないままに SSD 移行作業をしていたので、セットアップが始まった。
どうやらリカバリ領域からの (ASUS U24A 本来の) リカバリっぽい。
それを進めていくと Windows が 800 回くらい再起動しまくって、しかもフリーズかと思えるほど長い時間処理したものだから、憤死しそうになった。ネットで 10 回再起動するとか見ていなければ、もう一回リカバリしてしまったかもしれない。
最終的にデスクトップ画面が表示されるわけだが、セットアップの最中で「リカバリ領域を削除しますか?」というメッセージが表示された。まさかと思って Yes にして進めていくと、なんと 8GiB で割り当てたリカバリ領域と、 3GiB で割り当てたデータ部が OS 部に統合され、全体で 111GB の領域となっていた。ラッキー。
パテーションツールで領域を削除、拡張する手間が省けた。自分でやらなければならない場合は、 B-1 と同様に /dev/sda4 (データ部) と /dev/sda5 (リカバリ領域) を削除してから /dev/sda3 (OS部) を最大に拡張する必要があると思う。というか、その作業をすると統合できたと記事で見たからやろうと思っただけで、実際に自分で試してはいない。だって勝手に統合されちゃったんだもの。
というわけで、後は不要なアプリケーションを削除して、 Windows Update を行い、セキュリティソフトを入れて、初期設定は終了した。
ところで、メモリを 16GB に増設したら hiberfil.sys と pagefile.sys とで 38GB も使うようになった。少なくすることもできるのだが、スムーズにスリープ状態に移行できなくなる。
そして Windows ディレクトリが 20GB 使っていたので、あと 60GB でやりくりしなければならない。意外とカツカツだった。